理論的・着物のコーディネート考
基本、普段着のコーディネートは何を、どう合わせてもいいと思っています。
着物独自のルールが難しいと言いながら、
何でも自由でいいのですよと言うと、それはそれで難しいという方も少なくない。
で、コーディネートって、理論で語れるものなの?という質問。
語りきれませんが、1つの筋道、水先案内にはなるのでは、と思っています。
私の経験則からのコーディネート理論です。
(このブログではコーディネート理論の内容そのものはお話していません。なぜ、理論なのかというお話です。)
コーディネートを理論で、と言うと、ちょっと味気なく感じるかもしれませんが、
自分の「感性」に到達するまでの道筋と考えてください。
皆さん、たくさんの本を読んだり見たりして研究しています。
どれも「は~っ」と溜息が出る素敵なコーディネート。
1枚のきものが違う印象に仕上がる着回しコーディネート。
1本のお利口帯の「いい仕事」。
……が、いざ自分の着物や帯でやってみようと思うと……、
どうもそのコーディネートの技が「落とし込めない」こと、ありませんか?
そのアイテムがなければできないコーディネートは、「見るだけ」のお楽しみ。
そして、「センス」「感覚」と言われると、あとがないワケで。
ところで、
昔、やたら英語を勉強していた次期がありました(いえ、モノにはなっていませんw)。
教材評論家を名乗れるほど(笑)たくさんの教材も購入、試しました。
その中に、「ただ聞くだけ」ってありますよね。
アメリカの子どもは英語を勉強して覚えたのではない、耳から覚えたのだとか言うのですが。
それは条件が、子どもで、24時間365日、英語しかない環境で、しかも聞くだけではなく、実際の状況のなかで聞くからより理解ができるわけで。
でもそういう環境がない、ましていい年をした大人になってから(笑)新しいことを学ぼうとすると、やはりそこには文法や基礎理論があったほうが早道なのです。
「学ぶ」ことはできるわけです。
ただ、その学び方の「道筋」が確立されていないと、学ぶのに時間がかかるというのはありますよね。通常の学問や芸術は、学び方が確立されています。ピアノも数学もスポーツも。和裁や着付けもそうです。
でも、コーディネートって、レッスンとはいいながら
理論的に展開されることが少ないと思いませんか。
特に着物!
撮影でスタイリングをする機会が多いのですが、
撮影のスタイリングは、好きなアイテムをかき集めて、自由自在に、
あるいは自分の手持ちだけでできる撮影は、ごくごく稀です。
クライアント指定の着物と帯を使う、テーマ指定のコーディネートをする、
諸々の縛りがあるスタイリングがプロの現場です。
その「限定されたアイテム」、多くは着物と帯が決まっているというパターンが多いですね。
つまり――
そう、多くの皆さんが自宅で頑張っているコーディネートの現場と一緒です(笑)。
何万枚という、撮影した画像データを客観的に見て、選んで、誌面に掲載していると、
カッコイイ、見栄えがする、見る人の目に落ち着く、まとまっている等々、
撮影のときやスタイリングのときに、その着物の演出するべきポイントや、
こうするとまとまる、という基本ラインがだんだん見えてくるようになりました。
(いえ、実際は、どのテーマ、どのセンでまとめるかにもよるので、それはそれで四苦八苦しますがww)
でも、言ってみれば学習効果です。
その「学習効果」が、どのきものでも生かせる、
限られた手持ちのアイテムに転用できる、基本的なコーディネート理論になりました。
冒頭にも言いましたが、繰り返すと
コーディネートを理論で、と言うと、ちょっと味気なく感じるかもしれませんが、
自分の「感性」に到達するまでの道筋と考えてください。
「木を見て森を見ず」――理論のひとつのヒントです。
そして小物1つ1つの役割を認識することで、小物が使いこなせるようになります。
小物が使いこなせるようになると、結構どんな着物と帯も、
それなりにまとめることができます。
その理論を適用しているうちに「遊び」のポイントや、
「外すタイミング」や、「適度なゆるさ」がわかってきます。
基本を知っているから、着崩すことができるように。
この講座は毎月1回、西荻窪の古民家・一欅庵で開催しています。
(その月によりテーマが違いますのでお確かめください)
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