取材

取材行脚1――京都室町

もとこさん3月寒い日が続きますねー。
今週はあちらこちらへの撮影行脚でございました。
まずは京都へ、次なる「きものびと十人十彩」としてomoのもりたもとこさんを撮影。
いつにも変わらず元気な元気なもとこさんです。
もとこさんがお話を始めると、パーーーッとお日様が顔を出したような明るさが周辺を包みます。
いいな~、もとこさん。
omoのあとは「辻本」さんへ。
辻本さんは友禅の蒸しと洗いをする会社。友禅の「蒸し」って何?「洗い」って何?という話にもなりますが、
一言で言うと色(染料)をしっかり生地に定着させるための工程です。
友禅って1反の白生地に柄を描き入れて(つまり友禅を施すということ)、地色を染めて完成するのですが、これがスムーズに同じ場所で行われているわけではないのです。
地色を先に染めるか、友禅を先に施すかは製作者によりますが、最近は概ね地色を先に染めるケースが多いようです。
で、当然のことながら柄部分には地色が入らないようにしなければなりません。
そのために柄の下絵を描いた部分に「糊」を伏せてカバーします。
つまりマスキングみたいなものです。
んで、地色を染めたら一度蒸します。文字通り、蒸気がでる大きな蒸し機に反物を入れて蒸すことで色を生地にしっかり定着させるのです。
蒸しあがった反物は水元で洗いに入ります。昔だったら川で流していたいわゆる友禅流しです。
このときに糊を落とす作業もするわけです。2番目の画像がその作業中です。
しゃもじと呼ばれるお玉を持って糊を掻き落とすのですが、もちろん細心の注意を払う技術が必要です。
息が白く上がる水元でご覧の通り半袖で水につかって糊を落とし反物を洗う作業をする職人さん。
そして糊というマスキングをとった反物はまた工房なり作家さんに戻され、今度は柄に色を差す工程を経て、再度、蒸し・洗いにかけられ、乾燥、検品をして納品されるというわけです。
京都は徹底的に分業が進んでおり、その分野での技術が特化していますから、どれかひとつの工程が廃業等でできなくなったら大変なのです。
業界にはかなり前からその危機意識があるのですが、それぞれの分野は拍車がかかるように従事者が少なくなってきています。
前出のomoのもとこさんも「(着物が)こんだけ脈々と続いてるのには、ちゃんとした仕事や技術を継承している人がいるから残ってるんやって」「それが消えていったらもうどうもでけへん」と危機感を持つようになったとおっしゃいます。
そうなんだよね。それもあって地味なのですが月刊アレコレの「きものの基」は、
きちんと現場へ足を運んで取材し、着物をより知っていただくだけではなく、
その裏側、支えている職人さんや技術者の現状も知ってほしいという気持が込められています。
呉服店の新人さんや業界の若い人にもぜひ読んで欲しい連載です。
最近よく知らない人も多いようなので(笑)。

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