きもの

着物の国の(一部)黒歴史は着物の歴史じゃない

こんな記事が文春オンラインに掲載されていました。

記事を書いたライターさんは、昨年秋に

『着物の国のはてな』(集英社)という本を出している方で、

『月刊アレコレ』の今月の1冊でも取り上げています。

お話が聞きたいと昨年の出版記念トークに

友人と申し込んだけど、定員で諦めた経緯があります

自身の体験談が元の本で、きもの初心者からみた

きものの不思議を(問題点等も)とりあげています。

きものがお好きだと思いますが、

「きものラバー」というよりは、

ライターとしての視点が勝っている内容かなと思います。

関係者にとってはもう少し諸々、愛をもって(笑)

理解してほしいと思える箇所もあると思いますが、

現在のきものの理解、またきものの世界は

こんな風に見えているということで、参考になります。

ところで、その文春オンラインの記事に戻ると

「通いたい着付け教室NO1」(根拠となるデータは不明ですが)と

自画自賛する着付け教室問題が

ネットで浮上したのが18年くらい前でしょうか。

きものブロガーの走りといえる方が発信し始め、

自身も体験したその問題点を逐一挙げ……というか、

暴露といってもいい内容をネットに晒したのです。

海外からの発信もありました。

アメリカに教室をオープンしたときに、

無料とうたいながら日本の歴史を学ぶ女子大生や、

一部の人々にはレイシズムを感じさせる断り方をしているとか。

つまり対象にしているのは時間とお金のある

海外駐在員の妻や家族だということでした。

要は現地人は対象でない無料着付け教室ですね。

(これはあくまでその方の、そのときのブログ内容ですが)

その後その手のクレーム発信が噴出するようになりました。

細部や詳細はともかく、どれもが実体験としてなので、

核となる問題部分は事実といえるでしょう。

一応、伝えておくと、なかには

「いい先生にあたって良かった」という方もいました。

これは本人から聞いた言葉です。

その方がいうには、担当する先生によること、

本気できものを勉強しようと思うとためになるとのこと。

(主催者側としてはそこが趣旨ではないと思いますが 苦笑)

また、受講者自身が強い意志を持って断れるか否か、

ということでした。

ある程度の情報が行き渡ってからは、それを承知で、

自分は流されないと言う意思をもって

通う人もいたことは事実です。

ただ、一般的な、きものに無知な初心者が

学ぼうとして行った先で、師弟関係を前提として

セミナーという名の販売会に臨み、“プロ”に囲まれたら、

そりゃあ、なかなかの、

抜け出せない“ピンチ”でしょと思います。

わたしはこのとき、何が問題かって、

せっかく興味を持ち、行動まで起こした人たちが

皆、「もうきものには関わりたくない」

「呉服屋さんが怖い」「きものには嫌な思い出しかない」と、

一転、きもの嫌いになってしまう状況が

ほんと、悔しくて悔しくてたまりませんでした。

着付け教室なのに販売の問題点により

「呉服屋さん」として置き換えられているのも…。

これが「怖くない呉服屋さん」を名乗るブームに

つながったと見ています。

さらに呆れたことは(もう止まらない……加速)

そこが発行した情報誌の創刊号の(いまはないようですが)

裏表紙の自社のメンズきもの広告は、イケオジブームに乗った

某外国人モデルを起用し、周囲に女性が3人いる絵面の写真でした。

その3人の立場は、「正妻」「恋人的な秘書(確か)」「愛人」!

3人の女性は、3人の女性は、イケオジモデルを囲んで、

そういう“役割”の雰囲気をきもので演出していたのです。

3人のモデルは教室の講師だと紹介していました……

ほんっと、ありえない……

広告としてのコンプライアンスはないのか?? 

すみません、はっきり言ってディスっています。

ここまでディスって何が言いたいかといえば、

悪事千里を走る それも時を超えて、です。

そこの教室にかぎりませんし、もっと言えば、

それぞれの業界でも問題点はあると思います。

でも私達(≒ きもの好きや、職人・物販等で

たまたま仕事として就いたとしても、

きものを肯定的に捉えて多くの人に着てほしいと願う人々)、

きものが生活の一部にある人間としては、

自分たちが知っている、感じているきものの良さも

伝わってほしいと思うわけです。

誤解のないように言うと、こんな記事が出ることで、

「きもののイメージがマイナスになる

と言っているのではありません。

ライターさんもきものを貶めようとして

書いているのではないはずです。

自分のような初心者が知っておいたら有益な情報として

排除すべき問題点を挙げることで、

快適なきもの生活につながることを

念頭に置いていると思います。

私としては、そんな情報を駆逐するほどに、

「きものって、いいじゃん」「カッコいいよね」と、

伝わるような発信や、見た人が着てみたいと思うきもの姿が、

リアルに街なかで、雑誌で、本で、(正しいw)広告で、

視界に入るような環境になればいいなと思います。

(コロナ禍という現状はおいておいて)

悪事千里を走る 時を超えて を超える情報量・発信量で。

でも悔しいけど、松田聖子を使える資金力により、

きものを発信しているという点では、

なんだかんだ、こうして話題に挙がっているのよね、

複雑だけど f(^_^😉

ちょっと今回は、込み入ったおハナシになりました。

仕事柄、そして新卒から広告業界(いまは編集も)

それもきものに特化した仕事に携わっているので、

正直、きものに関する知識や、流通、製造現場、

一般のきものファンの思考やその変化など、

きもの全般の客観的・専門的な知識や情報は

蔵が建つくらい(笑)あると自負しています。

そのなかから、ある特定に加担せず、

純粋なきものファンにとって有益な情報を

お届けしているつもりです。

複雑な問題点に切り込むのは

私の本来の仕事ではないので(ルポライター的な)

あまりすることがありません。

が、一方で、ときに、いいかげんしろーーーっって、

思うことも、まあ、あります。(苦笑

ありますが、結局のところ、私が業界に対して、

一企業に対して与える影響なんて、ゼロに等しい。

ただ、有益な情報のほかに、たまに、

「きものの森」のなかで、あそこはキケンエリアとか、

魔の樹海につながる道とか(例えww)

立て札を立てておいたほうがいいなと

思うことはあります(笑)。

しかしネットが発達したいま、

ユーザーも十分、そのあたりは把握している方、

多くなったと感じています。

いろんな記事や情報があるけど、

皆さん、きものを嫌いにならないでね(笑)。

きものの国の(一部)黒歴史は企業の黒歴史であって、

きものの歴史じゃないのだから。

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