月刊アレコレ

月刊アレコレ特集 10月から4月まで通して着る、       「通し(10-4)単衣」の提案

Vol.181 月刊アレコレ特集 発行になりました!

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最新号の特集は!

「綿麻きもの」の次の

「通し(10-4)単衣」の提案です。

 

いまや定番となり各メーカーで

つくっている「綿麻きもの」。

2011年、月刊アレコレが「ロッキュウ(6-9)きもの」として

初めて提案、特集したのがきっかけで、

「59kimono」としてそのコンセプトと、

アイテムとしてのジャンルが確立しました。

 

 

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そして、この度提案するのが、

 

10月から4月まで通して着る絹の単衣、

 

「通し(10-4)単衣」です。

 

10と4で「とおし 通し」って

ネーミングもぴったりじゃないですか?

自画自賛(笑)

 

■素朴な疑問

冬の木綿は地厚なものを選んで

単衣で着るのに、なぜ絹は単衣だとだめ?

 

素朴な疑問でした。

 

絹という時点で、木綿よりは温かい。

しかも、温暖化や暖房機器の発達という環境下。

すでに従来の「6月と9月の単衣」は曖昧になり、

実際は5月も10月も着ている人が多い単衣。

 

そこ、普段着なら、もう一押し、

押し広げてもいいじゃない?と、

月刊アレコレは考えました。

 

小さな編集部で、自由奔放なもので(笑)。

しかも制作するワタクシが、

きものをめちゃ着るヒトなもので(笑)。

 

■袷も単衣も、選べたらみんながハッピー

袷に代わるものではなく、

「袷でも、単衣でも選べたら」———よくないですか?

だれも迷惑しません(笑)。

寒がりの人は今までどおり、袷を着ればいいのです。

暑がりの人、気温が高い日は、単衣を着ればいいのです。

 

これって、そんな難しい、そんなオカシイことですか?

これで困る人、誰がいるのだろう?

極端に寒々しいものでなければ、

まったく見た目にも問題ないはず。

 

袷、単衣、防寒具の組合せで、

より細かな温度調節ができます。

「着たら脱げない!暑い!」が減ります。

 

実際のところ、ですよ。

すでに昭和から、「胴抜き仕立て」というのがあります。

いまでも普通にある、仕立ての一種で、

袷の胴裏を付けない、八掛だけの仕立てです。

編集人みやざも、結城紬を胴抜きにしています。

 

これは、立ち働く料亭や旅館の女将さんが

よく着ている仕立てです。

つまり、暑いから。

しかしお客様を迎える立場上、

セオリーに添って袷に見える仕立てにしています。

 

立場上できない方、あるいはお茶席、

フォーマルな席なら、従来のセオリーを

踏襲すればよいのです。

 

しかし、きものをおしゃれ着として楽しむ私たちは、

自分が快適なほうを選んでも

よいのではないでしょうか。

 

絹だけでなく、ポリだっていいと思うのです。

あえて「絹」としたのは、衣更えの歳時記もあり、

絹が、袷、単衣に縛られているからです。

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■そもそも、元の更衣の制度からすでに変化

元々は江戸時代に、単衣で着ていたものを

袷から綿入れに仕立て直し、4月には綿を抜き袷に、

さらに単衣に戻すという、衣服に関する習慣を

幕府が武士社会で制度化。

それが民間にも広まりました。

 

幕府が制定した本制度では

袷は9月1日から8日までしかなく、

それ以降は綿入れです。

(江戸時代は気温も低いといわれていました)

現代では綿入れの習慣はなくなり、

8日間だけだった袷が秋冬を

通して着られるようになったのです。

 

 

画像は編集人みやざが参加している

「変体仮名」の勉強会で、以前に使った資料です。

高井蘭山(1762-1838)の「衣装文章」の中にある一文です。

江戸後期の年中衣装の決まりを述べています。

ページをまたいでいますが、

赤の四角で囲んだ記述。

九月朔日(一日)より服紗袷麻上下 今日より八日までは袷を用ふ

 

 

■体感で選ぶ「通し(10-4)単衣」と袷

いえ、遠い遠い江戸時代を引き合いに出して、

だから自由に、なんでも変えていい、

綿入れのように袷を無くしていいというのではありません。

 

時代や環境に即して変遷があるのは

自然だということです。

 

「綿麻きもの」を提案したときも、

薄物に代わるものではなく、

別物、別ジャンルとしての提案でした。

 

袷と「通し単衣」も然り。

文明の機器で温度を操作できるようになり、

地球規模の温暖化と向き合っているいま、

時々の体感で着るものを選ぶのが自然です。

 

寒ければ袷で、暖かい日や室内で過ごすときは単衣で、というように。

その単衣が絹か木綿かポリエステルかは、

手持ちの種類や天気と相談して選べばよいのです。

単衣であっても、きものの季節感は素材、色柄、

コーディネートで十分取り入れられるし、たのしめます。

 

本特集を編むにあたり、

全国の呉服・きもの店の女将さんや、

教える立場にある着付け講師の方、

一般のヘビーユーザーの方たちに

アンケートをお願いしました。

 

■アンケートのほぼ10割が、「通し単衣」肯定

普段着の「通し単衣」については

ほぼ10割の方が肯定的で、すでに実践している

という方が少なからずいました。

 

前後編でそのアンケートの回答を

分けて紹介しながら、編集部オススメの

「通し単衣」を紹介していきます。

 

普段きものをもっと自由に、快適に。

秋冬に、“単衣も”着たいと思っている人、

たくさんいるはず。

 

■「通し(10−4)単衣」小芝居劇場(笑)

 

12月に入った、きもので出かけた、とある日。

駅のホームで見ず知らずの御婦人に

話しかけられたと思いねえ(←人物設定謎)

 

『あら、単衣? 12月は袷を着るものよ』

「はい(瞳キラキラ)、袷も着ますが、今日は暑いので“通し単衣”なんです」

(オホホ)→まではいりませんが(笑)

 

「いまは、通し(10-4)単衣が増えているんですよ」

(ご存じない?)→も、いりませんが(笑)

 

今期から堂々と「通し単衣です」宣言をして着てください。

 

通し(10-4)におすすめのアイテム

そのコーディネート、紹介しています!

これも絶対、読む価値あり!

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