晒し補整ってどうなの?ーー結論「晒し、サイコー!」後半(2)
昨日の続きです。
晒しを巻いていたときに、
腕の可動域が広い、動きがラクということに気づいたワタシ。
実はその前に気づいていたことが
もう一つ、あります。
■晒しの効能、「疲れにくい」
晒しを巻いているときは、
きものの着用時間が長く、夜になっても、
疲れを感じない、もしくは感じにくい、ということです。
ここ、すごく大事なところです。
きものを着ている日のことになりますがーー
(一般的にはかなり多い回数ですが毎日は着ていません。洋服も普通に着ます)
ワタシは肩こりがひどく、それでいて1日座りっぱなし。
合間に会議が入ったり、撮影や取材が入ったりしますが、
基本はPCの画面を見て同じ姿勢で、
キーボードを打っていることが多い仕事です。
夜9時過ぎたくらいになると、首筋がパンッパン。
ところが、晒しの日は、意外と冷静なのです。
冷静……この場合は褒め言葉です。
つまり、体の変化を察知できない。
体の変化というのは、
朝から比べたら、肩こり、首筋のコリ、
ダル重さ、脱力感が出てくるという変化です。
みな、終業近くには「ああ〜〜 疲れたーー」と
自然に口に出ると思います。
肩や腰をトントンしたり、首を回したり。
1日の疲れは、ちゃんと
体に変化をもたらしているのです。
それが全くとはいいませんが、変化(疲れ)を感じにくい。
たまたまな、体調のタイミング?
と思っていたのですが、どーも、そうでもない。
そのことに気づいていから、夕方〜夜に、
ちょっと体全体を意識してみるようになりました。
■人はなぜ疲れるのか?
ところで、そもそもの、疲れの原因って、何だと思います?
目を酷使した、キーボードをうち続けた、
立ちっぱなしだった、対人で神経使った等、
個人の仕事内容により疲れ方は様々です。
しかし、それとは別に、
万人に共通する疲れの原因があります。
ここで、ワタシは笹島先生の言葉を思い出したのです。
ちょっと飛びますが――
晒しの話を雑談風にしていたとき、先生曰く。
「人の内臓は夕方になると落ちてくるの」
「それを晒しが支えてくれるのよね」
ワタシ「………??」
その時はもう一つピンと来ていませんでした。
しかし、その晒し効果に気づいたとき、
なるほど! と思ったのです!
これは、ワタシだから気づいたことだと思います。
いえ、優秀で気づいた、とかいうのではありません、残念ながら(笑)。
年代が中高年の域に達していたから
気づいたのだと思うのです。
つまり――以下、これも私の分析です。
(笹島先生はそのとき、そこまでは言いませんでした)
そういうことか!→どういうこと?…の前に、
話の腰を折るようで恐縮ですが、大事なポイントなので
以下を、予め言っておきます。
最初、ちょっと大きなスケールの話になるので、
「は?」と思うかもしれませんが、とても大事なことなので、
スルーしないでくださいね。
「気づいたことを早く言えっ!」と怒らないでね ^^;
■重力で内臓が落ちるというハナシ
まず――まずですね、
地球には重力があります。
……は? と思いました^^; 話はこれからですが、
ここも理論上、大事な点なのです。
地球の重力——ここを念頭に置いておいてください。
生まれた時から重力のなかで暮らしている私達は、
無重力状態を体験しない限り、重力を感じることがありません。
地球では、それが当たり前で生活しています。
ワタシたちの内臓も、実は「ニュートンの林檎」。
“落ちる”のです。
体自体は地に足がついているので感じることはできませんが、
単純に階段からでも二階からでも(笑)、
飛び降りると「ニュートンの林檎」になります。
あ、この重力、身近に実感できる点があります。
ウフフフ。お察しの通りです。
若い頃にはハリがあって持ち上がっていた胸、
デニムを履くときゅっと高かったお尻。
ほうれい線なんて無縁の、パンと張った頬。
それがいまや……私も、これら下垂と戦う日々です(苦笑)。
これらはなぜ「ニュートンの林檎」になるのか?
人の体には筋肉があります。
筋肉の力、筋力で体のあちこちを支えていることは、
理解できると思います。
下垂は単純に重力と筋力だけの問題ではありませんが、
大きな理由になっているのは確かです。
さて、笹島先生の「内臓が落ちる」の話に戻ります。
一晩体を横にして休むと、内臓は元の位置に戻ります。
しかし、日中の活動時間のなかで、
徐々に重力により落ちていきます。
内蔵を支えるのも筋力。
その筋力が衰えてくると、下垂が始まります。
つまり重さになるのです。
はい、ここで晒し、登場です!
晒しが、衰えた筋力を補ってくれているのです!
もちろん、内臓に限らず、下垂する
胸、お腹回りを、体と一体化して、
留めて置いてくれるのです!
だから、通常より「疲れにくい」のだと思うのです。
私が、晒しをしたときの違いに気づいたのは、
いまの自分の年代だから、と言いました。
■人の筋力は衰える
筋力が元気な若い頃なら、
この差は気づかなかったと思います。
先生が「晒しが内臓を支えてくれる」といったのは、
晒しが衰えた筋肉の代わりを務めてくれる、
ということだったのだと思います。
きもの、絹、も結構な重さがあります。
腰紐や帯を使わなかったら、
きものの重さはそのまま、肩に、体に、
乗っかってくる……といえば、わかりますよね。
余談ですが、若いころはカシミアの良さが
まったくわかりませんでした。
なぜ、あんなに高価なの??
20代は、デザインやブランド優先の重いコートを着ていました。
しかし、ある年代になると、
カシミアのセーターの素晴らしさを、
涙するほどわかるようになりました(笑)。
何しろ軽い。そして温かい。
肩こり、それでいて寒がりの私は、
重いウールはほんとに苦痛でした。
そもそも着るものに“重さ”を感じるようになった時点で、
はっきり言って、とっても「大人」です(笑)。
きものも同様に40代になってから、
大島紬の軽さが魅力で、
好きなきものの一枚になりました。
■(2)のまとめ
ということで、長々と続けてきましたが、
・私達は重力の中で暮らしている。
・晒しは衰えた筋力を補ってくれる。
・一日の終りに体に蓄積した“重さ”は疲れにつながるが、
晒しによりそれが軽減される。
よって、「晒しを巻いた日は疲れにくい」と
感じていた私の感想は、正しい(多分)。
あともう一つ。 胸の大きい方も、
晒しはとても有効ですよ。
■ではきものや帯自体は体を支えないのか?
ーーところで、体を「支える」というと、
紐類や帯だって腰や背骨など、体を支えてくれるでしょ?
という方もいると思います。
もちろん、そこに異論はありません。
背筋がシャキッとするのはきもの(と帯)
そのものの効用だと思っています。
しかし、その同じきものを、同じように着ていて疲れ感が違うというのは、
私の場合、晒しを巻いたときに感じることなので、
自分なりの検証の結果、晒し効果だと思っています。
きもの自体、「洋服より疲れる」という人、
「洋服より体がラク」という人、両方います。
そのどちらであったとしても、
今回は「いつも通りの同じ条件できものを着た時」を
基準とした前提でお話しています。
■ベスト補整はそれぞれだけど、試す価値はある
戻ってーー
この晒しの巻き方はとても簡単ですが、
いくつかの大事なポイントがあります。
私もそれを守って巻いています。
でも難しいとか、複雑とかいうことは全くありません。
昨日も言いましたが、1分しないで、
私は30秒位で巻いてしまいます。
あと、晒しの種類にも注意が必要です。
月刊アレコレの本誌を見て、ぜひ、一度、お試しください!
体調がいまいちのときに、きものを着なければならない、
というときなどは、絶対、オススメです!
私は様々な肌着や補整を検証するので、
晒し以外でも好みの肌着や補整はあるし、使います。
例えば、たかはしきもの工房の「くノ一 涼子」や
「腰すっきりパッド スキニー」「ガードル裾よけ」も好き。
(ガードル裾よけも語ると、長いですww)
私が選ぶ基準のもう一つに、「気持ちがいい」があります。
晒しを巻いてきものを着ると、「疲れにくい」だけでなく、
着ていて気持ちがいいのです。ほんとうに。
まだ「大人」じゃない人は使わなくてもいいです(笑)。
「大人」の自覚を下垂に感じる方は(爆)、
ぜひ、お試しください。
今日も長々と、暑苦しい晒し愛に
お付き合いいただき、ありがとうございます。
晒し、好きだーーーーー! ←まだ言ってる(笑)
追記:ここで終わるはずでしたが、
肝心の着姿を整える「補整」としての
観点からは触れていなかったので、
最終の段(3)を投稿しました。
ほんと、長くてすみません(汗)ビョーキ……
※本ブログの無断転載・引用は固くお断りします。
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