着付け

着付け時の「動かないこと」と「布の定位置」というハナシ

着付けをするとき、

鏡の前に立った状態から動かずに

手がとどく範囲に使う小物を完全に揃えおくーー

着付け本にも必ず書いてあることなのですが、

この「そろえておきましょう」の一言を通り一遍に

受け止めている方が少なくありません。

 

 

着付け始めてから、「あ、伊達締」「あ、帯板」と

取りに動く方、結構います。

そして「あ、紐が落ちちゃった」と途中でしゃがむこと。

これは避けたほうがいいと思います。

というか、私的には

絶対!といってもいいくらいNGです(笑)。

 

ワタシが教える編集さんのお友達などには

鬼のように注意します(笑)。

 

なぜかーーー

せっかく正面を向いて、

(自分的には)正しい位置におさまったはずが、

  腕を持ち上げる

  振り返る

  かがむ 等々

上記の動作をすることで、

布が動きに影響を受けて動くからです。

 

つまりーー

 

着付けは空気を抜いて体に添わせるようして

着ていきますよね。

 

(現代の着付けは)ふわっと着るものではありません。

 

ちょっと語弊がありますが、布の余裕がなければ、

動いた方に布が引っ張られるのは当然の原理です。

つまり本来、おさまった位置から布が動くことになります。

 

……と、ここで、

 

すごく細かくてレベルの高い話だわ~

まだまだ初心者のワタシはそこまでじゃないから(関係ない)

その差がわからないから参考にできないかも

 

とお思いのかた、いるかもしれません。

 

おっしゃる通り、確かに

手順や紐の使い方ならともかく 

かがむな、歩くな、動くな(笑)^^;

 

そもそも着付けって、そこまで面倒くさいものなの?

手順通りに着付けて、着られたら、それで良くない?

 

はい、いいと思います。

全然、問題ないと思います(笑)。

 

ただただ、ワタシが着付けオタクなのと(笑)

理論はおいておいても、

とりあえず着付けのときは

「動かない」ほうが絶対いいですよ

ということは有益な情報だと思うので、

一応、その根拠を挙げたということです。

 

根拠というか、理由をもう少し挙げるとーー

 

先程、最初におさまった布目が

体の動きと一緒にずれるといいました。

 

そのまま、紐(伊達締)をかけて

“収まった”布は、そこが“定位置”になります。

 

(ただその定位置が、極端に歪みがある不自然な方向へ

引っ張った場合は、それはそれで紐をかけても

戻ろうとする力は働きます。

つまりそこが布の“定位置”じゃないからです。

わかりやすくいうと、極端に身幅が狭い時などです)

 

 

これは、誰でも必ず、覚えがあると思うのですが……

着付け終わってから衿が左右対象でないとき、

片方だけを引っ張りますよね。

一瞬、直ります。

でも、すぐ着た時の非対称に戻りますよね。

結局、1日中同じ動作をしているという(笑)。

 

 

ここで、ワタクシのダメな例を(笑)。

人様を挙げるわけにはいかないので、

自分のから探しました(笑)。

 

おはしょりや裾もあるのですが、

分かりやすい衿元で。

 

IMG_3073のコピー.JPG

 

↑衿が左右非対称。

 

きものは襦袢の上においていくというのが

よくわかる例だと思います。

襦袢の段階で非対称だと、きものも歪みます。

正面左と同じように衿ときものを重ねたいと思い、

かぶせても、ひっぱっても、無理なヤツです(笑)。

 

これは最初におさまった位置に

布が戻ろうとするからです。

一枚の布なので、つながる前後左右との流れがあります。

そこだけを引っ張ること、引っ込むませることができないのです。

例えて言えば、軽く張った一枚の布を

真ん中だけ引っ張って向きを変えることが

できないのと一緒です。

 

 

 

↓もっとダメな例(恥 (笑)

これは一昨年? 去年? のお正月だと思います。

 

 

IMG_3813.JPG

 

衿も浮いています。

体の向きが斜めですが、

それを別にしても完全に上前の半衿が多い。

そしてきものの衿をかぶせて均等にしようとしても、

みておわかりの通り、布目が通っているのがわかりますよね。

これはもう動かない。

 

 

ちょっと理屈っぽくなりましたが、

これ、分かる人にはとても有益な情報だと思います(笑)。

 

要は、

「使うものはすべて揃えて、

キチンと手がとどく範囲で、

とりやすいところにおいてから、

着付けを始めたほうがいいですよ」

 

ということです。

椅子の背に紐をかけておくとか、

箪笥の引き出しをひいて乗せておくとか、

ベッドの上でもいいかもしれません。

 

そして、

「着付けを始めたら、鏡を正面にみて、顔や首を動かしたり、

腕を持ち上げたりはしないでくださいね」

 

ということです。

 

↓口直しに(笑)……ちょっとあつかましいでしょうか^^;

すっきりした衿元ということで(笑)。

これは保多織。木綿です。

 

 

IMG_5800.JPG

 

 

 

 

 

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