日記・つぶやき

訃報―私の昭和

 急な訃報。

昨夜お通夜へ行って来ました。


もう10年以上お会いしていないけど、若い頃お世話になった方が急死なさった。
なぜか、生意気でズケズケものを言う、駆け出しコピーライターのワタシを可愛がってくださって、いまでいうと、よくイジられました。

バブルの時代だったので、ワタシなどは分不相応な銀座のクラブや料亭にも連れて行ってもらったものでした。
「浮気がバレてさ、オレが寝ていたときに、かみさん、グローブみたいに大きな手なんだけど、それでいきなり顔をバシーーーーッ!って殴られたのヨ。もう、何が起こったからよくわからない状態で、目がさめたのに失神状態のフラフラでサー、目の周りを星が飛んでるって、アレほんとうだゼ」と言うような、
いまの若い人が聞いたら大顰蹙モノの話を飲みながらするような人だった。
でも、あとから思えばそういう話もネタ的で、何割か盛ってるんだろうなと。
サービス精神が旺盛で、子煩悩で、でも仕事にはシビアで切れる人でした。

私が会社を辞める時には、取引先の社外の方なのに大層な場所で送別会もしてくださった。
その数年後に独立して会社を起こし、その会社の催事でお目にかかって、
結局それが最後になったしまったけど……。
出張先のホテルで具合が悪くなり、搬送された救急車のなかで帰らぬ人となった。

黒いリボンの額の中で再開した顔は、やっぱり笑っていました。

なんか、久し振りに、すごく、すごく、
いろいろなことが走馬灯のように思い浮かんだ帰り道。
最近は止まらないで突っ走ることが精一杯で、
昔のことを思い出すこともなかったけど……。

私にとって、おもちゃ箱のような、宝石箱のような、
良き昭和の中で笑っているお一人でした。

合掌。

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