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月刊アレコレVol.21(2006/9/25)「みそひともじ・愛しき“白秋”」から
愛しき「白秋」 酒井あつ子

情緒ある日本の四季の中でも、私が最も愛する季節が秋です。穀物は豊かに実り、空は高く澄み、木々は紅葉して色づく……紅・黄・黄金色・茜色・柿色・朽葉色、まさに錦秋というに相応しいえもいわれぬ色彩で秋は私たちを魅了し続けてくれます。けれど、何故でしょう。秋の色は?と問われると私は、即座に白と答えてしまいます。それも透明により近い白、秋という季節が持つこの清らかさは、白以外には考えられないような気がするからです。
日本の四季は四人の女神がそれぞれに季節をつかさどっていると言われています。春は佐保姫、夏は筒姫、秋は竜田姫、冬はうつ田姫。秋の女神の竜田姫は、平城京の西に位置する竜田山に住むと信じられており、竜が裁つに音が似ていることから裁縫の神ともされ、また、紅葉の美しさから染色が得意ともされているそうです。が、もともとは、中国の五行陰陽説に由来するもの。古代中国では五行思想に基づいて、四季の一つ一つを、春は青、夏は朱、秋は白、冬は黒と色分けしました。そして、秋をつかさどるのは「白帝」と呼ばれる神様なのだそうです。
錦織り成す見事な色彩、竜田姫が季節を思い通りに染め上げることができるのは、その素地が限りない白だから?!清らかで透明感に溢れる秋は、何色にも染まる白であり、また、永久不変の何色にも染まらぬ白ともいえるのかもしれません。
雁がねの来鳴きしなへに韓衣(からころも)
龍田の山はもみちそめたり
(万葉集 二一九四 詠み人知らず)
雁がねが渡ってきて鳴き始めたかと思うと、早くも韓衣を裁つという名の龍田の山は色づき始めました。











