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月刊アレコレVol.16(2006/4/25)「きものの引きだし―布の命は長い ―」から

「きものの引きだし」
布の命は長い。

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とうとう出来ました、去年からずっと言っていた長羽織。黒地に白で格子、その上から信号機が描かれている「交差点」の柄です。去年ゆかたのデザインを依頼されたときに参考作品として一反だけ作ったもの。なので正真正銘の一点物です。
小紋にしようかとも思ったのですが、やはり長羽織がほしくて、着付けの大久保信子さんに教えていただいた「ひざの裏までの丈」のものを作ったというわけです。裏地には、ずっと着ていなかった長襦袢をほどいたものをあわせました。なかなかいい出来で、ながめているとウフフと笑みがこぼれてしまうくらい。
その長羽織を着て母に見せていたら、「派手になった小紋をそういうふうに作り替えようかな」と言うのです。
その小紋は、わたしも見たことのある赤のようなピンクのような、牡丹色の小紋。たしかに、還暦をすぎた母には無理。だからといって、わたしが小紋として着るかというと、どうかなー……というシロモノでした。
実際に羽織になったら、大きな柄がアンティークっぽくてすてき! 白っぽいきものに合わせたら映えるだろうな、とわくわくします。小紋だったら箪笥の肥やしだったけれど、羽織に生まれ変わったとたん、使いたいものランキングのトップに入るんだから不思議なもんです。
そういえば先日、母がずっとしまい込んでいた花模様の紬を着てみたら、なんとお尻のところが裂けていたんです。そりゃもうがっかり。なんでしまい込んでいたかというと、破けたところを直そうか、解いて別のものに作り直そうか考えているうちに、そのままになったみたいでした。
いつも行くお店にも、仕立てのところにも持っていったけれど、お尻の部分がそんな風になっちゃうと、きものとしても羽織としても難しいんだって。すごく好きな柄だけにもったいなくて、しょんぼり。そしたら「帯にしたら?」と天の声。それはすてき!
古着も扱うあるお店のスタッフさんが言ってました。「古いものを買おうとしているお客様には、きものとして派手なら羽織に、羽織として派手なら帯に、それぞれ作り替えることも出来ますよ、とお話するんです。そうすると楽しみ方が何倍にもなるでしょ」
そうそう、そうやって何度も生まれ変わってきたんだろうな、という半幅帯に出会ったことがありました。以前はすっごくかわいらしいピンクの地に、いろんな花が描かれている小紋だったはず。きっと羽織になって帯になって、そして今、半幅帯になってわたしの手元にやってきたのね。そう思うと愛おしくて。
布の命は長い。改めて思います。

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