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月刊アレコレVol.30(2007/6/25)「映像の向こう側」 から

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自分のスタイルを持つこと。
着方だけではなく、仕立ても含めたきもの自体で、着る人や土地柄が見えてくる面白さ。きものはファッションであり、文化であるということを、私たちは映像で知ることができる。そして新しいきものの時代を自分たちで体現することも、いまならできるだろう。

衿元の印象は大事ですね。最近の人はみなきっちり合わせたがるでしょ。衿元に化粧品の汚れが付くのは“体型”じゃなくて“着方”ですね。――付いた汚れですか。しみなんかは変にイジると逆に後で落ちなくなるので、専門の人に任せますけど、現場でね、どうしても対応しなきゃいけないときがある。衿にドーランが付いて角度によって見えちゃうときとか。そういうときはチョークを塗って消すというか、隠すときがあります。後が落ちなくなるので困るんですけどね。これは最後の最後の奥の手(笑)。衣紋を抜く、抜かないじゃなくて、首に付かないほうがゆったり見える。
もちろん現場の着付けは役柄で変えますが、女優さんで感心するのは(「男はつらいよ」の)三崎千恵子さん。役の上でもプライベートでも自分のスタイルがちゃんとあって、自分で着たほうがいい格好になるんです。例外ですけどね。賠償さんは若いというのがあってこちらで着せていましたけど。寅さん(「男はつらいよ」)では、地方の芸者とか、意外ときものがあるんですよ。それで、わざと田舎っぽくする。やっぱり、パターンというか、そう見えるきものや着付けがあるんですよね(笑)。大柄で派手とか、見た目の軽さとかね。……全体の雰囲気なんですけどね、でも(きもので)そういうのを探すと今度はなかなか無かったりする。だから一般の人は、こうすれば田舎っぽく見えるというパターンの、その反対を意識すればいいんじゃないですか(笑)。パターンといえば大奥みたいなのはある程度、決まった衣裳があるのでそれを使うんですが、女優さんに強く個性があるときは、別に作ったりもします。やっぱり、“着る人”を表すことが大事ですよね。
内掛けや芸者の(きものの)裏は、関西と関東で違います。関西は白、関東は共(布)です。今は現場でも滑りの関係で、木綿のきものにも裏は羽二重とか正絹を使うけど、昔はいろいろですが、大体紅絹(もみ)が多い。ところがいま、紅絹が無いんですよね。仕立てるときは僕たちは額縁仕立て(外から見える部分にだけ額縁のように裏を付ける仕立て)が多いですね。商売していてよく立ち動く女将さんは胴抜きで作っていたり、茶道をやっている人は前幅が広かったり、きものをみると着ている人の生活や立場が分かる面白さがありますね。

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